強い痛みを伴うヘルペス(帯状疱疹)

ヘルペスに強い痛みを伴う場合には、帯状疱疹の可能性があります。帯状疱疹の原因となる水痘・帯状疱疹ウイルスはヘルペスウイルスの一種で、水ぶくれが神経に沿って帯状に広がるために「帯状疱疹」と呼ばれています。

帯状疱疹の原因となる水痘・帯状疱疹ウイルスは水痘・帯状疱疹ウイルスは、子どもの頃などに水ぼうそうになったことで体内に入り込みます。

通常時は免疫が働き、水ぼうそうが再発することはありませんが、体力の低下や風邪などの要因によってウイルスが再活性化されると、帯状疱疹となって再発します。

帯状疱疹は通常の(単純疱疹・単純ヘルペス)とは違い、疱疹に触れても感染することは少ないとされています。全身のどこにでも発症する可能性がありますが、上胸背部や額などに現れやすいです。

単純ヘルペスの再発率は1年で約20%と高いのに対し、帯状疱疹の再発率は一生で1%程度とかなり低くなっています。

強い痛みをともなう帯状疱疹の症状

帯状疱疹は、神経の流れに沿って帯状の水疱が現れます。ほとんどの場合、症状は身体の片側に出ます。

発症すると

帯状疱疹が発症すると、神経痛様疼痛、知覚異常やかゆみなどが数日~1週間程度続きます。そして、虫刺されのような赤みを伴う腫れが現れます。この段階で発熱やリンパ節の腫れ、頭痛などが現れることもあります。

赤みを伴う腫れには、後から中央が凹んでいる小さな水ぶくれが多数発生します。内容物は透明ですが、次第に黄色くなり、6~8日で破れてびらんか潰瘍を作ります。

皮膚症状が現れてから1週間程度は新たな水疱や腫れが現れ、症状の範囲も拡がりますが、次第に改善へと向かい、約2週間でかさぶたになります。そして、約3週間の時点でかさぶたがはがれて治癒に至ります。

帯状疱疹のピリピリした痛み

帯状疱疹では、ヘルペスウイルスが神経を伝うため、ピリピリとした痛みをともなうことが特徴です。場合によっては神経が傷つき、強い痛みが起こることがあります。また、重症例では、衣類が肌に触れるだけで耐えがたい痛みが起こり、眠れなくなることもあります。

改善し始めた頃には、ピリピリとした痛みに加え、虫がはい回っているような感覚、冷たい水滴が流れるような感覚が生じる場合があります。

適切な治療を受けなければ、水ぶくれが拡大し、膿を持つようになります。この膿で満たされた水疱が破れると、ただれたような傷口になります。この状態で雑菌がつかないように過ごせば、やがてかさぶたができ、約1ヶ月でかさぶたが剥がれて治癒に至ります。ただし、水膨れの痕が多少残ることがあります。

20歳までに発症したものは、痛みはほとんどなくなりますが、年齢が高くなればなるほどに、帯状疱疹後神経痛という痛みが残りやすくなります。場合によっては、10年以上も痛みが残り、ときには一生痛みが残ります。

帯状疱疹の原因

帯状疱疹の原因となるのは、水ぼうそうと同じ水痘・帯状疱疹ウイルスという、ヘルペスウイルスの一種です。

水ぼうそうは、ほとんどの子供がかかり、全身に強いかゆみを伴う水ぶくれができます。水ぼうそうが治ると血液中にウイルスは存在しなくなりますが、体神経節という神経細胞の中に潜伏し、体内に残り続けます。神経細胞と一体化しているので自覚症状が全くなくなりますが、ウイルスは消滅していません。

睡眠不足やストレス、風邪などによって体力や抵抗力が落ちると、ウイルスが再び増殖を始め、神経を伝わって拡がります。そして神経の先にある皮膚に水ぶくれができて、ヘルペスと同様の症状が現れます。

帯状疱疹には年代によって発症しやすさに違いがあります。

  • 10代まで…水ぼうそうの免疫が体に残っているので発症しにくい
  • 20代…水ぼうそうの免疫が減ってきて発症しやすい
  • 30代~40代…子どもの水ぼうそうウイルスを受け取ることで免疫力アップ。発症しにくい
  • 50代以降…体力が落ちてくるので発症しやすい

帯状疱疹は人にうつる?再発する?

帯状疱疹の人と接触して感染するることはありませんが、帯状疱疹の水疱の中には大量のウイルスが含まれているため、水ぼうそうとして伝染する可能性があります。

多くの大人は既に水ぼうそうにかかったことがあるため、うつる心配はほとんどありませんが、水ぼうそうにかかったことがない赤ちゃんや子供の他、妊婦の方は注意が必要です。

さらに、免疫が低下している白血病患者やステロイドホルモンを使用している人も水ぼうそうにかかりやすいので注意しましょう。

また、帯状疱疹の再発の割合は感染者全体の約0.5~1%といわれており、ほとんどの場合は再発しません。しかし、治癒から2年以上経ち、治癒直後よりも免疫力が低下した状態では帯状疱疹が再発するケースがあります。

帯状疱疹の治療

帯状疱疹は初期症状の段階で抗ウイルス薬による治療を受けることで、水ぶくれやかさぶたを防ぐことができます。さらに、後遺症である帯状疱疹後疼痛の発症頻度を抑える効果も見込めます。

痛みが強い場合は、早い段階で神経ブロックによって痛みを和らげることで、帯状疱疹後神経痛が残りにくいといわれています。また、帯状疱疹後神経痛の治療も麻酔科で行っています。

関連: ヘルペスを治すには?治療法を詳しく解説します。

抗ヘルペスウイルス薬と痛み止めの併用

帯状疱疹の治療では、抗ウイルス薬や鎮痛薬などによってウイルスの増殖を抑えつつ痛みを和らげます。抗ウイルス薬は、ヘルペスウイルスに感染している細胞内で活性化し、ウイルスの増殖の機序に影響を与えて増殖を食い止めます。

抗ヘルペスウイルス薬

治療開始から1週間程度で赤みや水ぶくれの改善がみられ、その後にかさぶたができます。そして、治療開始から3週間程度で治癒に至ります。

治療でよく使用される抗ウイルス薬は、ビロビル250mg(ファムビルジェネリック)、セントレックス500mg(バルトレックスジェネリック)、バルトレックス500mg、ゾビラックス200mgです。

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鎮痛剤(痛みの緩和)

強い痛みをともなう帯状疱疹後神経痛に対しては、神経ブロックの内服薬の他、カプサイシン軟膏などを併用します。このような鎮痛薬は一般的な鎮痛薬とは異なり、痛みの感じ方を変化させることで神経痛を抑えるものと考えられています。

神経ブロックの内服薬は、服用を始めたときに吐き気やふらつきなどの副作用が出ることがありますが、約1週間で消失します。また、鎮痛作用が現れるのは、服用から約1週間後です。

経皮的脊髄電気刺激療法

脊髄電気刺激療法は、脊髄に微弱な電気刺激を与え、調節することによって痛みを和らげます。海外では1960年頃から行われ、日本では1970年頃から始められています。1999年には、完全植え込み式刺激装置による脊髄電気刺激療法が保険適用となっています。この治療法は、痛みが強く、従来の治療では痛みを抑えられない場合に行います。

最初から治療を行うのではなく、まずはトライアルとして試験刺激を行い、効果が認められた場合にのみ、疼痛除去用の脊髄電気刺激装置を植え込みます。

帯状疱疹を予防するワクチン(水痘ワクチン)

免疫力が低下し始める50代以降で、これまでに帯状疱疹になったことがない方は、帯状疱疹の予防と帯状疱疹後神経痛のリスクを抑えることを目的として、水痘ワクチンを接種することをおすすめします。

確実に帯状疱疹を防げるものではありませんが、帯状疱疹後神経痛のリスクを低下させられるのは大きなメリットです。なお、既に帯状疱疹を発症している人が水痘ワクチンを接種しても効果はありません。

まとめ

帯状疱疹は、過去に水ぼうそうにかかったことがある人に起こり得る病気です。免疫力や体力の低下などがきっかけとなるので、健康を保つよう心がけましょう。

また、帯状疱疹後神経痛という皮膚症状の改善後に痛みが残る場合があるので、発症直後から痛みが強い場合は、早い段階で治療を開始することが大切です。早期の治療により、帯状疱疹後神経痛のリスクを低下させられます。

免疫力が低下し始める50代以降の方で、これまでに帯状疱疹になったことがない方は水痘ワクチンを摂取し、帯状疱疹と帯状疱疹後神経痛のリスクを低下させましょう。

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