唇や口にできたヘルペス(口唇ヘルペス)

口唇ヘルペスは唇やその周りに小さな水ぶくれが発生するヘルペスです。単純ヘルペスウイルスによって発生し主に接触感染します。感染力が非常に強く、一度感染すると治癒後も体内の神経に潜伏し、体力・免疫力が低下した際に再発します。1年以内の再発率は約80%ともいわれています。

口唇ヘルペスの症状

口唇ヘルペスになると、最初に唇や口の一部がピリピリ、チクチク、ムズムズとし始め熱を持ちます。その後、12時間以内に皮膚に赤みが現れ、数日以内に赤みの中に小さな水ぶくれが多数発生します。水ぶくれが壊されてかさぶたができ、やがて治癒に至ります。

基本的に痕が残ることはありませんが、重症の場合や免疫力が低下している場合は痕が残るケースがあります。また、稀にリンパ節の腫れがみられます。

初感染か再発かによって症状の程度が多少異なります。再発の場合は、初感染と比べて軽症であることが多いです。

初感染の場合

初感染の場合、感染後4~7日で感染した部位が赤くなります。そして、後から5mm大の水ぶくれが広範囲にわたって多数現れます。初感染の場合の水ぶくれは比較的大きく、再発をくり返す度に小さくなっていくことが一般的です。

また、発熱や頭痛、倦怠感、顎や耳の周りのリンパ腺の腫れなど全身に症状が現れます。発症から治癒までの期間は約2~4週間です。

赤ちゃんが初感染した場合はヘルペス性歯肉口内炎になるケースが多く、口の中に口内炎が多発します。

子供の頃にヘルペスを発症していると免疫が作られるため、大人になってから発症しても軽い症状で済むことが多いです。しかし、大人になってから初感染すると、重い症状が現れることがあります。

関連: 子供もヘルペスに感染する?子供のヘルペスを解説

再発した場合

再発した口唇ヘルペスは、患部が赤く腫れ水ぶくれへと変化します。痛みを伴うのが特徴で、発症から10日~2週間程度で回復期に入り、かさぶたへと変化して治癒に至ります。症状は口唇や口の周りの一部にだけ現れ、初感染の場合よりも軽症です。

再発をくり返すと、水ぶくれは初感染のものより小さくなっていきます。また、前駆症状であるピリピリ、ムズムズとした違和感を察知できるようになります。この段階でヘルペスの薬を服用することで、治癒までの期間の短縮が期待できます。

初感染と再発時の症状の違い

初感染した場合 再発した場合
前駆期 症状なし 唇にチクチク、ムズムズ、ピリピリといった違和感や熱感、かゆみが現れる
初期 感染後4~7日で赤みを伴う腫れが唇に現れる 前駆症状が現れてから半日以内に赤みを伴う腫れが唇に現れる
中期 5mm大の水ぶくれが広範囲に多数現れる

発熱や頭痛、倦怠感、リンパ腺の腫れが起こる場合がある

2~3日が経過すると、赤みを伴う腫れの上に痛みを伴う水ぶくれが現れる

水ぶくれは再発の度に小さくなる

後期 発症から2~4週間にかさぶたができて回復期に入る 発症から10日~2週間にかさぶたができて回復期に入る

 

口唇ヘルペスの原因

口唇ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスが直接か間接的に皮膚に接触して感染することで発症します。

単純ヘルペスウイルスに感染する主なケースは次のとおりです。

  • 単純ヘルペスの患者とのキス
  • くしゃみや咳など飛沫による感染
  • 食器、タオルなどの共用
  • 他の部位にできたヘルペスに触れた手で口唇や口の周りを触る

口唇ヘルペスの再発の原因は、体力や免疫力の低下です。次のような原因で発症・再発します。

  • ストレス
  • 疲れ
  • 風邪
  • 紫外線

関連: ヘルペスの原因と感染経路を詳しく解説します

口唇ヘルペスの予防と再発防止方法

口唇ヘルペスを予防するには上で挙げた感染ルートを避けることが必要です。

家族やパートナーが単純ヘルペスにかかっていると、接触による感染のリスクが高まるため、食器やタオルの共有を避けましょう。また、食器についた唾液の中に存在するウイルスは長時間生存するため、食器は洗剤で十分に洗うことが大切です。

免疫力や体力の低下が再発のきっかけとなるので、十分な休息と栄養バランスのとれた食事などを心がけましょう。また、ストレスも免疫力の低下を招くので、普段からストレスの少ない生活を心がけることが重要です。

ヘルペスの原因と悪化因子を避けることで、発症・再発のリスクを低下させられます。

関連: ヘルペスを治すには?治療法を詳しく解説します。

口唇ヘルペスの薬

口唇ヘルペスの前駆症状であるピリピリやムズムズなどの違和感が出た時点で治療を開始すると、症状を抑えられたり、軽症で済むことがあります。治療の際は抗ヘルペスウイルス内服薬・外用薬、鎮痛剤などを使用します。

抗ヘルペスウイルス薬(内服薬)

ヘルペスの治療では、抗ヘルペスウイルス内服薬の投与が基本となっています。

抗ヘルペスウイルス薬の成分には、アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビルなどがあり、ウイルスの増殖に繋がるウイルスDNAの結合・延長を阻害します。

頻繁に再発したり重症化しやすかったりする場合には、内服薬がおすすめです。5日以上服用しても効果に違いはみられないため、5日以降は飲まなくてよいとされています。なお、抗ヘルペスウイルス薬は、神経節に潜伏しているヘルペスウイルスまでは退治できないため、一生ヘルペスが再発しなくなるものではありません。しかしながら、ウイルスの増殖を抑えられるため、できるだけ早い段階から治療を開始することが望ましいです。具体的には、水ぶくれが現れてから48時間以内までの治療開始がよいとされています。

再発をくり返す方や、すぐに病院を受診できない旅行に出かける方は、内服薬を何日分か持って行くようにしましょう。

抗ヘルペスウイルス薬には、ゾビラックス200mg、バルトレックス500mg、ビロビル250mg(ファムビルジェネリック)、セントレックス500mg(バルトレックスジェネリック)などがあります。

なお、重症の場合や内服薬の効果が認められない場合には、内服薬の変更、点滴注射、入院したうえでの治療などが必要となるケースがあります。

ヘルペスの塗り薬(外用薬)

軽症の場合は、アシクロビルやビダラビンの成分が含まれた塗り薬や軟膏が処方されることがあります。しかし、近年ではこれらの薬が耐性ウイルスの出現のリスクを高める可能性があるとアメリカのFDAが警告しているため、初感染の場合や軽症~中等症の場合には、アシクロビル、バラシクロビルを含むバルトレックス500mg、ファムビルなどの抗ヘルペスウイルス内服薬を使用するのがおすすめです。

鎮痛剤

口唇ヘルペスによる水ぶくれが現れると、唇の周りに痛みが生じます。強い痛みを伴う場合には、抗ヘルペスウイルス薬だけではなく、鎮痛剤も使用します。

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