性器にできたヘルペスは性病?性器ヘルペスの症状と治療方法

性器ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスが性器やお尻に感染することで発症する水ぶくれが現れる性感染症です。症状が現れていても、性器ヘルペスだと気づけず、感染を広げてしまうケースがあります。性行為によって感染するため、性病の一種と考えられています。

(注)性器以外の部位に感染することで起こるヘルペスは、皮膚疾患に分類されます。

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性器ヘルペスは、男性よりも女性の方が発症頻度が高く、その差は男性の約2倍といわれています。再発をくり返し、根治が難しい病気であるため、患者は精神的苦痛を強いられます。性の自由化が進む中、世界中で増加の一途をたどっています。

性器ヘルペスの症状

性器ヘルペスは、ヘルペスウイルスの初感染によって起こる症状が強い「急性型」と、神経節に潜伏していたヘルペスウイルスが再活性化することで起こる「再発型」、そして非初感染初発の「誘発型」に分類されます。

 

急性型の性器ヘルペス

性器ヘルペスは、急性型がもっとも重い症状が現れます。性交渉などで感染後2~21日が経過した頃に外陰部やお尻に不快感やかゆみなどが起こります。これらは前駆症状で、その後に38℃以上の高熱やリンパ節の腫れ、全身倦怠感、強い疼くような痛みなどが起こります。なお、女性の場合は排尿時痛を伴います。

そして、多数の浅い潰瘍や小さな水ぶくれが急激に現れます。症状が現れる部位は、男性の場合は包皮と亀頭、冠状溝、女性は外陰部や子宮頸部です。重症例では、髄膜炎を起こすこともあるため注意が必要です。無治療でも2~4週間程度で治癒しますが、生活に支障をきたすため、早めに治療を受けることが大切です。また、女性の場合は、排尿困難や歩行困難を伴い、入院加療が必要となるケースもあります。

再発型の性器ヘルペス

過去に性器ヘルペスを発症した経験がある場合、過労やストレス、月経、性交、その他さまざまな刺激がきっかけで性器ヘルペスを再発することがあります。お尻や性器の違和感、太ももや脚の付け根の皮膚などのピリピリやチクチク感などが前駆症状として現れます。

その後にできる水疱は、急性型と比べて小さく数も少ないうえに、強い痛みも伴いません。しかし、ときに重い症状が現れます。発症から治癒までの期間は1週間程度で、再発の頻度は月2~3回、年1~2回と個人差があります。性器ヘルペスは単純ヘルペスウイルス1型と2型のどちらでも発症しますが、2型の方が再発しやすいです。また、加齢と共に再発の頻度が減少する傾向があります。

誘発型の性器ヘルペス

誘発型の性器ヘルペスは、過去の感染時に無症状で済み、免疫力が低下したことをきっかけにウイルスが再活性化して症状が現れるものです。免疫力の低下の程度によっては、強い症状が現れます。

性器ヘルペスの原因(感染経路)

性器ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスの感染者との性交渉が原因で感染します。性器に症状が現れていなくても、性器の粘膜や分泌液の中にウイルスが存在する場合があるため、無自覚のうちに伝染させてしまうケースが多くあります。

主なケースは次のとおりです。

  • 患者と同じ便座を使用する
  • タオルの共用
  • オーラルセックス

性器に直接触れるだけではなく、ウイルスが付着した便座やタオルに接触することで、お尻に感染することもあります。

また、唾液中にウイルスが排出されている場合には、オーラルセックスによって感染する恐れがあります。さらに、口唇ヘルペスに触れた手で性器を触ることによって、性器ヘルペスを発症することもあります。

単純ヘルペスウイルスの1型は主に口や手指など上半身、2型は性器やお尻など下半身に感染しますが、感染経路によっては性器ヘルペスから単純ヘルペスウイルス1型が検出されることもあります。

性器ヘルペスの予防と再発防止方法

性器ヘルペスを防ぐためには、ヘルペスウイルスを持つ人物との性的接触を避ける必要があります。しかし、水ぶくれなど明らかな症状がない場合でもウイルスを排出していることがあるため、完全に防ぐことは困難です。

そのため、パートナーが単純ヘルペスウイルスに感染していないことが明らかな場合を除き、コンドームを使用することをおすすめします。ただし、コンドームで保護される部分を超えて病変が拡がっている場合には、コンドームでは防ぎきれません。また、ワクチンも開発されていないため、現時点で確実な予防法はありません

ヘルペス感染症全般においては、間接的な感染を防ぐために、食器やタオルなどの共用を避ける必要があります。

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ヘルペスウイルスは体力や免疫力の低下をきっかけに再発するので、規則正しい生活を心がけつつ、過労やストレス、風邪などに注意を払う必要があります。

性器ヘルペスの薬

性器ヘルペスは、患部の違和感などの前駆症状が現れた段階で治療を開始することで症状を抑えることができます。

できれば水ぶくれができてから48時間以内に治療を開始することが望ましのですが、神経節に潜伏しているウイルスまでは退治できないため、現在のところ薬を使ったとしても完治はできません。

性器ヘルペスの治療では、抗ヘルペスウイルス内服薬・外用薬を使用します。

抗ヘルペスウイルス薬(内服薬)

抗ヘルペスウイルス薬には、ゾビラックス200mg、バルトレックス500mg、ビロビル250mg(ファムビルジェネリック)、セントレックス500mg(バルトレックスジェネリック)などがあります。

抗ヘルペスウイルス内服薬の飲み方
単純疱疹の場合 帯状疱疹の場合
ビロビル250mg

(ファムビルジェネリック)

1回1錠を1日3回 1回2錠を1日3回
セントレックス500mg

(バルトレックスジェネリック)

1回1錠を1日2回 1回2錠を1日1回
ゾビラックス200mg 1回1錠を1日5回 1回4錠を1日5回
バルトレックス500mg 1回1錠を1日2回 1回2錠を1日3回

中等症以上の性器ヘルペスでは、おもにゾビラックス(成分名:アシクロビル)を1日5錠、5日間投与する治療法を適用します。副作用が少なく、抗ウイルス薬の投与によって懸念される耐性ウイルスも、免疫不全者の場合を除き日本では報告されていません。

また、急性型など強い症状が現れている場合には、抗ヘルペスウイルス薬の静脈注射を検討します。

なお、年6回以上も再発する場合には、ウイルスの増殖を抑えて症状が現れる前に対処する「再発抑制療法」が検討されます。これは、バルトレックス(成分名:バラシクロビル)を1日1錠、連日内服します。保険適用であるため、少ない負担で受けられるのがメリットです。

ヘルペスの塗り薬(外用薬)

軽症の場合は、アシクロビルやビダラビンなどの成分を含む外用薬や軟膏を処方されることがありますが、抗ウイルス外用薬の使用は耐性ウイルスの出現リスクを高めるとアメリカのFDAが警告しています。

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