ヘルペスとはどんな病気?その症状と種類は?

ヘルペス(Herpes)は、ヘルペスウイルスの感染によってできた小水疱(小さい水ぶくれ)が集まったもので、急性炎症性皮膚疾患に分類されます。
以前は皮膚疾患の総称として扱われていましたが現在では、ヘルペスというと、口の周りにできるヘルペス性口内炎や性器にできる性器ヘルペスなどを含む単純疱疹と、神経の流れに沿って全身に水疱が帯状に現れる帯状疱疹のことを指します。※ちなみに、一般的によく知られている「水ぼうそう」もヘルペスの一種です。
ここでは、ヘルペスはどのような病気なのか、その種類や症状について解説しています。

ヘルペスの種類

人に感染するヘルペスのウイルスに以下のような種類があり、それぞれ引き起こす症状が違います。

 

ウイルスの種類 主な症状
単純ヘルペスウイルス1型 口唇ヘルペス、ヘルペス性歯肉口内炎、カポジ水痘様発疹症、角膜ヘルペスなど
単純ヘルペスウイルス2型 性器ヘルペスなど
水痘・帯状疱疹ウイルス 水ぼうそう、帯状疱疹
エプスタイン・バーウイルス 伝染性単核症
サイトメガロウイルス 肺炎、網膜炎
ヒトヘルペスウイルス6 突発性発疹、脳炎など
ヒトヘルペスウイルス7 突発性発疹
ヒトヘルペスウイルス8 カポジ肉腫

引用:本田まりこ「帯状疱疹・単純ヘルペスがわかる本」

一般的にヘルペスは単純ヘルプスウイルスの1型・2型と水痘・帯状疱疹ウイルスのことを指します。

単純ヘルペスウイルス(1型・2型)

単純ヘルペスウイルスには、単純ヘルペス1型(HSV-1)と単純ヘルペス2型(HSV-2)があります。この2つから引き起こされるヘルペスを単純疱疹と呼びます。

単純ヘルペス1型(HSV-1)は、顔や唇など上半身に接触感染し、主に口唇ヘルペスの原因になります。

単純ヘルペス2型(HSV-2)は、性器を中心とした下半身に感染し、性器ヘルペスの原因となります。性器ヘルペスの患者と性交渉をすることで皮膚同士が接触して伝染することが特徴です。HSV-2においては、世界で約4億人もの感染者がいるといわれています。また、HSV-2に感染することで、HIVウイルスの感染のリスクも増大します。

いずれの単純ヘルペスウイルスも極めて高い感染力を持ち、新生児にも感染します。稀ですが、死亡するケースもあります。

関連: 単純疱疹(HSVウイルスによるヘルペス)

水痘・帯状疱疹ウイルス

水痘・帯状疱疹ウイルスは、水ぼうそうと帯状疱疹の原因になるヘルペスウイルスの一種です。

初めて感染した場合は水ぼうそうとなり、一度感染すると体内に潜伏します。帯状疱疹は、子供の頃に水ぼうそうのウイルスに感染しており、それが体調不良やストレス、風邪などによって体力が低下しているときに再活性化することによって起こるヘルペス感染症です。

水ぼうそうウイルスは加齢と共に体力や免疫力が低下する40~50歳代に発症しやすいといわれています。また、高齢者が発症した場合、皮膚の症状が改善した後に神経痛が残り、長く悩まされるケースもあります。

関連: 強い痛みを伴うヘルペス(帯状疱疹)

単純疱疹(単純ヘルペス)の症状

単純ヘルペスウイルスの潜伏期間は3~7日です。主に唇の周りや陰部、お尻などに小さな水ぶくれや赤い発疹が集まって発生します。

チクチクとしたりムズムズとしたりする他、痛みや痛痒さなどをともないます。初めて単純ヘルペスウイルスに感染した場合は、発熱や頭痛、喉の痛み、リンパ節の腫れ、倦怠感など全身に様々な症状が現れ、重症化することも珍しくありません。

体力の低下やストレス、風邪などの要因で抵抗力が落ちると、潜伏したヘルペスウイルスが増殖しはじめ、症状を引き起こします。しかし、ヘルペスウイルスに感染しても、症状が現れない場合があります(潜伏感染)

再発をくり返すこともありますが、水疱が現れる前に口元に違和感を確認でき、再発を自覚できるようになります。また、再発をくり返すたびに症状が軽くなっていくという特徴があります。

関連: 単純疱疹(HSVウイルスによるヘルペス)

帯状疱疹(帯状ヘルペス)の症状

帯状疱疹は、神経の流れに沿って帯状の水疱が現れるヘルペスです。片側の神経が分布している部分に神経痛様疼痛と知覚異常、またはかゆみが数日から1週間程度続き、その後に赤みを伴う腫れが現れます。この時期には、軽い発熱やリンパ節の腫れ、頭痛などの症状が現れることがあります。

赤みを伴う腫れの上に、中央が凹んでいる小水疱が多数現れます。内容物は透明ですが、次第に黄色くなり、6~8日で破れて「ただれ」か「潰瘍」になります。皮疹が現れてから1週間は、新たな水疱や赤みを伴う腫れが現れますが、その後は改善に向かい、約2週間でかさぶたになります。そして、その約1週間後にはかさぶたが剥がれて治癒へと至ります。

関連: 強い痛みを伴うヘルペス(帯状疱疹)

部位ごとにヘルペスの症状と種類

単純ヘルペスウイルスは、身体のどこにでも感染するウイルスです。感染部位に応じて、ヘルペス性歯肉口内炎、口唇ヘルペス、角膜ヘルペス、顔面ヘルペス、性器ヘルペス、手指にできるヘルペス性ひょう疽、臀部ヘルペス、ヘルペス性脳炎などがあり、いずれも皮膚疾患に分類されます。

日本皮膚学会によると、口唇ヘルペスの患者数が最も多く、再発型性器ヘルペス、顔面ヘルペス、カポジ水痘様発疹症が後に続きます。

口や唇にできるヘルペス(口唇ヘルペス)

口や唇、その周辺にできるヘルペスは口唇ヘルペスです。初感染では水ぶくれが大きく、再発をくり返すに連れて次第に小さくなっていきます。

ヘルペスウイルスが唇に接触することでできるため、口唇ヘルペスの患者とのキスや共用している日用品の接触が原因となります。口唇ヘルペスは、体力や免疫力が低下することで再発します。

関連: 唇や口にできたヘルペス(口唇ヘルペス)

口内炎になるヘルペス(ヘルペス性歯肉口内炎)

ヘルペス性歯肉口内炎は、口腔内にヘルペスウイルスが感染することで発症する口内炎です。口腔内の接触感染の他、口唇ヘルペスの初感染時にヘルペス性歯肉口内炎にもなることがあります。

痛みが強く、赤く腫れることが特徴で、舌や唇、歯茎の他にも唇の外側や喉に近い粘膜部分など様々なところに現れます。口腔内や喉の痛みによって十分な食事や水分を摂ることができず、脱水症を起こすこともあります。

通常の口内炎とは違い、ヘルペス性口内炎では38~40℃の発熱が3~5日程度続き、痛みをともなった重い症状になることもあります。なお、口唇ヘルペスとは違い、再発することは稀です。

接触感染以外にも。口を拭いたタオルや使った食器を共用することでも感染します。また、ヘルペスウイルスを持つ大人が子供にキスしたりすることで伝染させることもあります。

関連: 子供もヘルペスに感染する?子供のヘルペスを解説

顔にできるヘルペス(顔面ヘルペスもしくは帯状疱疹)

顔面ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスが顔に感染することで起こり、顔であればどこにでもできる可能性があります。目の周りや耳にできたヘルペスも顔面ヘルペスの一種です。日本皮膚科学会によると、顔のヘルペスの症例数は230件で、これはヘルペスの中で3位となっています。

感染力が強いため、別の部位にできたヘルペスを触れた手で顔を触れる、ヘルペス感染者の唾液やウイルスがついたタオルを使用する、などで感染が拡大します。

また、帯状疱疹が顔にできることもあります。顔の筋肉や鼓膜の張り具合を調節している顔面神経に感染が起こることで顔面が麻痺する場合があります。顔の片側だけが麻痺すると共に、難聴や耳鳴りなどの症状が現れます。

目にできるヘルペス(角膜ヘルペスもしくは顔面ヘルペス)

ヘルペスウイルスが目の中に入って角膜に感染すると角膜ヘルペスが発症します。眼の充血や目ヤニの他、激しい痛みをともないます。また、まぶしさや眼の痛みが少しずつ強くなってくることが特徴です。

似た病気に涙膿炎がありますが、これは涙目や白っぽい膿が混ざるといった症状であるため、区別しやすいでしょう。

角膜ヘルペスによって視力が低下し、最悪の場合では失明することもあります。ヘルペスウイルスに感染している部位に触れた手で目をこするなどすると感染するため注意が必要です。

なお、新生児が目の充血を起こした場合においては、新生児涙嚢炎や鼻涙管閉塞症などの可能性もあります。

また、目の周りにヘルペスができた場合は顔面ヘルペスの可能性があります。

鼻にできるヘルペス(口唇ヘルペスもしくは帯状疱疹)

ヘルペスが鼻にできた場合は、その場所によって口唇ヘルペスもしくは帯状疱疹の可能性があります。

上口唇が鼻の下や鼻に接しているため、口唇ヘルペスは鼻の下にまで発症します。風邪などをひいて体力が落ちると口唇ヘルペスが再発しますが、その際に鼻の下に「熱の華」とも呼ばれる水疱ができることがあります。

鼻の頭に発疹が現れた場合は帯状疱疹の可能性があります。角膜や結膜に炎症ができる場合もあるため注意が必要です。

指や爪にできるヘルペス(ヘルペス性ひょう疽)

爪の先端に単純ヘルペスウイルスが感染することで、ヘルペス性ひょう疽になる場合があります。よく使う利き腕の指先や爪の周りに現れることが多く、足の指には現れないことが特徴です。手荒れやささくれなど何らかの傷がある人や、指しゃぶりをする乳児、口唇ヘルペス患者に処置を行う歯科医など医療従事者によくみられます。

症状は、爪の先や爪の周りにできる赤みを伴う腫れで、その後は小さい水疱ができます。痛みが強く、症状は2~6週間と比較的長く続く傾向があります。なお、ヘルペス性ひょう疽は、再発することが少ないといわれています。

外用薬では治療できないため、経口抗ウイルス薬の内服が必要となります。

お尻や下半身にできるヘルペス(性器ヘルペス)

お尻や性器など、下半身にできる性器ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)の感染によって引き起こされます。

性器ヘルペスは性行為で感染することが多く、1人あたりの性体験人数の増加やコンドームの不使用などにより、成人で初めて感染する人が増加してます。また、単純ヘルペスウイルス1型に感染している人が単純ヘルペスウイルス2型に感染した場合、無症状のことが多いとされています。

関連: 性器にできたヘルペスは性病?性器ヘルペスの症状と治療方法

手や体にできるヘルペス(帯状疱疹もしくはカポジ水痘様発疹症)

手や体にヘルペスができる場合、帯状疱疹の可能性があります。発症部位は体の左右のどちらか一方のみで、最初はピリピリとした痛みが生じます。そして、数cm程度の赤みを伴う腫れが起こり、その中に数mm程度の小さな水ぶくれが多数集まるように現れます。

帯状疱疹は子供の頃に感染した水ぼうそうのウイルスが神経節に潜伏し、体力や免疫力の低下をきっかけとして再活性することで発症します。

また、アトピー性皮膚炎の患者は皮膚のバリア機能が十分に働いていないため、皮膚に単純ヘルペスウイルスが接触することで、容易に感染します。重症化もしやすく、全身へとヘルペスウイルスがまわり、カポジ水痘様発疹症を起こすこともあります。そのため、アトピー性皮膚炎の患者は、ヘルペスが悪化しないよう発症原因の回避と早い段階での治療が必要です。

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