子供もヘルペスに感染する?子供のヘルペスを解説

子供のヘルペスは、主に単純ヘルペスウイルスの感染によって起こります。唇や口腔内の粘膜に現れることが多いです。ちなみに、帯状疱疹ウイルスに感染した場合は、水ぼうそうとして発症します。これは、帯状疱疹ウイルスと水ぼうそうのウイルスが同じであるためです。ここでは、子供がかかる可能性があるヘルペスについて解説しています。

子供のヘルペスの原因(感染経路)

子供のヘルペスについて、国立感染症研究所ウイルス第一部長の西條政幸さんは

(ヘルペス)ウイルスは唾液を介して感染する。多くは乳幼児期に母親などから初感染し歯肉口内炎となる。その症状が治まった後、ウイルスは三叉(さんさ)神経節という場所に住み着く

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と述べています。

以前はほとんどの子どもが、最近では約半数の子どもが幼児期にヘルペスに感染して抗体を持っている(ウイルスが体内に潜伏している)と言われています。

ヘルペスウイルスは人から人だけではなく、物を介して感染することもあります。また、大人になってから再発した人から子供へとキスなどによって感染することもあるので注意が必要です。また、母親が性器ヘルペスを発症している状態で出産すると、産道で胎児に感染することもあります。感染経路がいくつもあるため、完全にヘルペスウイルスの感染を防ぐことは困難です。

子供がなりやすいヘルペス

子供のヘルペスは6ヶ月~3歳頃にみられます。感染しても症状が現れないことも多く(不顕性感染)、症状が現れるのは約10%です。

子供が単純ヘルペスウイルス1型に感染した場合は、そのほとんどがヘルペス性歯肉口内炎となります。その後に神経節に潜伏し、成人してから再活性化すると、口唇ヘルペスなどが起こります。

水痘・帯状疱疹ウイルスに感染した場合は水ぼうそうになり、成人してから再活性化した場合は帯状疱疹となります。

アトピー性皮膚炎の乳児や免疫力が十分ではない新生児がヘルペスウイルスに感染すると、カポジ水痘様発疹症など重症化することがあります。

子供の口唇ヘルペス

口唇ヘルペスは、子供の頃に家族から感染したヘルペスウイルスが体内に潜伏しており、それが成人してから再活性化して発症することが多いです。なお、初めてヘルペスウイルスに感染すると、ヘルペス性歯肉口内炎となります。

口唇ヘルペスでは、唇全体に5~7mm大の水ぶくれが現れ、ただれ、かさぶたの経過をたどり、約1週間で治癒します。アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビルなどの抗ウイルス薬の内服が有効ですが、再発しやすい場合は漢方薬の黄連解毒湯を早期の段階で飲むと改善が早くなるといわれています。

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ヘルペス性歯肉口内炎

ヘルペス性歯肉口内炎は、単純ヘルペスウイルスのうち主に1型に初感染したときに発症します。乳幼児期に比較的多くみられます。症状が現れるのは約10%です。このように、感染しても症状が現れないことを不顕性感染といいます。

ヘルペス性歯肉口内炎の症状

場合によっては高熱や痛みなど重い症状が現れることもあります。

一般的な口内炎であるアフタ性口内炎とは違い、ヘルペス性歯肉口内炎では急に高熱が出ます。熱は2日程度で下がることもありますが、長ければ約1週間続きます。

その後、歯肉が赤く腫れる、疼くような痛みが起こるなどし、時には出血します。歯肉炎と口内炎の症状が明らかになってくるのは、多くの場合発熱後3日以上経過してからです。

また、喉や舌に潰瘍が、口唇や口の周りの皮膚には小さな水疱が現れることがあり、発熱から約1週間が経過した頃に症状が急速に和らいでいくことが多いです。歯肉の赤みを伴う腫れ、口唇や口の周りにできる小さな水疱がある状態で小児科を受診すると、その場でヘルペス性歯肉口内炎と診断されます。

ヘルペス性歯肉口内炎の対策は

ヘルペス性歯肉口内炎の問題点は、口内や喉の痛みによって十分な食事・水分の摂取ができなくなり、脱水症になる場合があることです。

その場合、食事は無理に与えず刺激が少ない飲み物を与えましょう。また、熱いものや刺激性のものは避け、柔らかく、冷たいものを与えてください。保育園や幼稚園は、熱が下がって食事・水分の摂取がある程度できるようになってから登園させましょう。

特に治療を行わなくても1週間程度で自然に治癒することが多いのですが、水ぼうそうと同じく抗ウイルス薬の服用によって治癒期間の短縮が期待できるため、症状の程度や発熱の状況によっては抗ウイルス薬を使用します。また、脱水症のリスクがある場合には、点滴や入院が必要となることがあります。

水ぼうそう

水ぼうそうは、ヘルペスウイルスの一種「水痘・帯状疱疹ウイルス」に初めて感染することで発症する病気です。最初にかゆみを伴う赤みが出て、続いて赤みの部分に水疱が作られます。赤みが現れてから3日程度でかさぶたになりますが、次々と赤みが現れて水疱になっていくため、「赤み」と「水疱」、「かさぶた」の症状が同時に現れます。また、発熱を伴うことがあり、40℃以上の高熱が出ることもあります。最初の赤みから約1週間で全ての病変がかさぶたになり、人に感染する心配がなくなります。

軽症の患者の約半数は発疹の数が50個未満と比較的少なく、水疱が形成されません。また、かゆみも少ないことが特徴です。発熱も伴わず、比較的短期間で治癒します。

重症の水ぼうそうは、免疫力が十分に働いていない免疫不全者にみられます。発疹と発熱が2週間以上続き、通常では現れない手のひらや足の裏にも水疱が現れます。また、水疱は比較的大きく、水疱の中に血液が溜まることもあります。激しい腹痛や腰痛、背部痛を伴うことがあります。

水ぼうそうでは、次の症状を伴うことがあります。

  • 病変を引っ掻くことによる細菌感染
  • ウイルス性肺炎
  • 急性小脳失調症
  • 水痘脳炎
  • 血小板減少症

重症の水ぼうそうでは、ウイルス性肺炎と水痘脳炎のリスクが高く、肝機能障害や多臓器不全などが起こることもあります。

水ぼうそうは、抗ウイルス薬で症状を軽くすることができます。発熱に対しては、アセトアミノフェンが主成分の解熱鎮痛薬を使用します。

水ぼうそうを発症すると、水痘・帯状疱疹ウイルスが神経節に潜伏し、体力や免疫力が低下したときに再活性化し、帯状疱疹を発症します。

カポジ水痘様発疹症

カポジ水痘様発疹症とは、アトピー性皮膚炎や火傷などの症状があるところにヘルペスウイルスが感染して起こるもので、免疫力が十分に備わっていない新生児や、アトピー性皮膚炎の乳児に多くみられます。

単純ヘルペスと比べて大型の水疱が多発する傾向があります。すぐにただれて痛みが起こり、リンパ節の腫れや発熱をともないやすい症状です。乳幼児が初めて感染すると、全身へとウイルスが回り、肝炎など重症になることがあるため注意が必要です。

軽症~中等症ではアシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビルなどの抗ウイルス薬の内服を、重症例ではアシクロビルの点滴静注が必要です。母親がすでにヘルペスウイルスに感染したことがあり、抗体を持っている場合には、抗体が胎盤を通じて胎児に移行するため、重症化のリスクは低いといわれています。

まとめ

子供がなりやすいヘルペスは、口唇ヘルペスとヘルペス性歯肉口内炎です。自然に治癒することが多いですが、脱水症のリスクがあるため、場合によっては点滴や入院が必要となります。また、アトピー性皮膚炎の乳児や免疫力が十分ではない新生児が感染すると、カポジ水痘様発疹症を起こすことがあるため、ヘルペス患者との接触を避けなければなりません。子供のヘルペスは、その症状によって生活の質が大きく低下するため、早めに治療を開始して、治癒までの期間を短縮させることが大切です。

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